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第8回ネパール・ブータン難民キャンプ・ビジョン・スクリーニングと眼鏡寄贈ミッションは、UNHCR(国連難民高等弁務官)力トマンズ事務所の要請により、11月5日(水)から16日(日)までのスケジュールで実施されました。
ミッションに先立ってUNHCRカトマンズ事務所の要請に基づき、3,500組の眼鏡及び眼鏡フレーム(100枚)、眼内レンズ(20枚)、補聴器(20台)等がネパールに空輸、寄贈されました。これらの寄贈品は、速やかに無税通関され、作業の拠点となるダマックに輸送され、UNHCRサブ・オフィスの倉庫に保管されていました。
滞在期間中、5日間の作業日程で7箇所のキャンプを訪問し、2,458人のスクリーニングを行い、2,302組の眼鏡を選定しました。この中には、在庫の眼鏡が使えず、帰国後、日本から特別製作してネパールに送る眼鏡79組が含まれています。

今回のミッションは、6名で編成されました。
ブータン難民キャンプ訪問は、2000年の秋以来3年振りのことです。一昨年はアメリカで同時多発した9月11日の大規模テロ事件のため、また、昨年はネパール国内で発生した過激派分子、マオイスト・グループの騒乱事件のため、何れも直前になって訪問をキャンセルしました。
今回のネパールの訪問は7月下旬に実施されたアルメニアでのミッションに引き続いて今年2回目、1983年のミッション開始以来、通算21回目のミッションとなりました。
ロイヤル・ネパール航空412便が機材整備の関係で6時間も遅れ、首都カトマンズには、現地時間、6日、午前12時30分(日本時間午前3時45分)に到着しました。空港には、日本大使館から派遣された、山本さんが待機しており、入国や通関に立ち会ってくれました。また、ライオンズ・アイ・ケア・センターのドクター・プラドゥハンの出迎えを受け、大変感激しました。

今回のミッションの企画立案・計画の具体的な実施にあたっては、UNHCR(国連難民高等弁務官)カトマンズ事務所及びダマックにあるサブ・オフィスの皆さんの全面的な支援を仰ぎました。力トマンズの事務所では、現地出発前と作業終了後2回にわたり関係スタッフの皆さんとミーティングを持ちました。
ダマックのサブ・オフィスでは、最終日の作業終了後、時を同じくして開催されたスタッフのための送別会に招かれましたが、その席で、当社の永年に亘る継続した難民への支援に感謝の言葉が贈られました。ちなみに、UNHCRオフィスとの協力関係(パートナーシップ)は、1984年以来、本年で20周年を迎えております。

各キャンプでのスクリーニング作業は、難民の医療プログラムを担当しているアムダ(AMDA:Asian Medical Doctors Association:本部は岡山市)の外来クリニックを利用させていただいた他、設営、受付、誘導、通訳など、作業面では、現地難民スタッフの大掛かりな協力をいただきました。また、検査は永年のパートナーである力トマンズのライオンズ・アイ・ケア・センター(LECC)及びダマック・クリニック(SPN)のスタッフ3人、アムダ・ホスピタル(ダマック)から派遣された検査員一人の応援を得、総勢7人で行われました。何れも十分キャリアを積んだベテランばかりでしたので大変充実した検査チームとなりました。
各キャンプでのスクリーニング対象者を予めリストアップする為の″プレ・スクリーニング″という大事な事前の作業も、私達より1週間程先にキャンプに入ったこれらの皆さんによって既に実施されており、今回は合計2,375人が登録されていました。整然としたスクリーニング作業には欠かせない事前の作業ですが、ネパールのパートナーの皆さんにはいつものことながら、今年も大変お世話になりました。また、納品には日本からの女性2人を主体とする3名が配置され、全体で10名という、久々の大規模なチーム編成となりました。

滞在中、ネパール国内の治安が予想外に悪化し、マオイスト(毛沢東思想を標榜する過激派分子)の徘徊により、軍隊や警察との衝突、小競り合いが頻発し、毎日、何処かで死傷者の発生が報告されていました。
警戒度は、国連で用いられている1から5のスケールで3のレベル、即ち、避難の準備態勢にあるようにという状態でした。ネパール全土いたるところが警察や軍の厳しい警戒下にあり、日没後には外出してはいけない、ということになっていることを後で知らされました。
また、キャンプ内での治安の維持については、警察官が攻撃の標的になったため、キャンプを撤退してしまい、セキュリティーに対する不安を残しました。
このような状況下で、我々の作業の推進にも、少なからず影響が出ました。
日没後にはハイウェイを走ってはいけないというUNHCRサブ・オフィスの方針が出ていたようで、遠隔地のキャンプでの作業は、帰路の移動時間を考慮して、午後3時位で作業を中断するようドライバーから事前の申し入れがあり、その要請に従いました。
未だ身近で事件が発生していないため、直接の危機感はなく、また、外国人に対して危害を加えた事例は発生していなかったので、作業は予定通り消化されていきましたが、毎日関係者から情報を入手しながら慎重に判断し、行動しました。
実際、関係者からの報告によると、私達がダマックを去った 数日後、マオイストの呼びかけにより、車の通行が一斉に規制される移動禁止令が出され、エンジンつきの車両はバイクも車も2日間完全にストップしてしまったそうです。
複雑な政治的背景があるようですが、外国からの訪問者が経済を潤す観光資源に大きく依存しているネパールにとっては、非常に深刻な事態に陥っています。政治の安定、治安の速やかな回復は、来年以降の訪問に大き な課題を残すこととなりました。

今年のネパールは例年ほど暑くはなく、比較的快適に作業ができました。3年ぶりの訪問となり、各キャンプで大勢の難民が私達を待ち受けていました。ネパールでの活動は、1994年以来10年目を迎えましたが、未だ次から次へと複雑な視力障害を抱えて苦しんでいる事例が後を絶たず、継続したスクリーニング活動の必要性を強く感じました。
帰国後、特別な度数のレンズを発注して製作しなければならないケースが79件発生したことは、まさしく、このような状況を物語っていると思います。また、長期に亘って生活しているため、定期的な眼鏡のケアーも提供していかなければなりません。眼鏡のプレゼント以外に、白内障術後に移植される眼内レンズや聴覚障害者のための聴力測定装置と補聴器の提供も僅かながら実施してお りますが、この分野のサービスの拡充も期待されています。

滞在中、難民の自発的ブータン帰還の話がクローズアップされました。ブータン政府とネパール政府との間で何年にも亘り話し合いが持たれていましたが、今年になって展望が開けて来たようです。帰還の話が具体化しているのは、クドゥナバリ・キャンプで、12月中旬までに帰還希望者の審査及び申告のための手続きを終え、来年2月中旬にはその第一陣がブータンヘ向けて帰国を開始するというスケジュールが出来ているようです。
クドゥナバリの次は、サニスチャリー・キャンプが予定されています。実際、難民の方々に聞いてみたら、必ずしもブータン帰還の機会を歓迎しているとはいえないようでした。背後に色々複雑な政治的問題を抱えているため、果たして計画通り帰還が実現するか危惧されています。

今回の宿泊所であり活動のベースとなったダマックのゲストハウスには、以前バドラプールでお世話をしてくれたマダン夫妻が住み込みで働いており、朝夕の食事には心のこもった美味しい料理を作っていただき、作業の疲れが癒され、楽しい思い出となりました。たまたま赴任したばかりのサブ・オフィスの新ヘッド、ミラグロスさんもここに泊まっており、私達と生活を共にしました。
作業を終え、キャンプから戻ると、その日の作業の記録や統計をとったり、翌日の作業のための眼鏡の補充をしたり、順番で日本への活動報告を作成したりで、忙しく仕事に追われて一日が過ぎてしまいます。今回、リビング・ルームにテレビが置いてあり、少しリラックスできるときにはCNNにチャンネルを合わせ、そのニュース報道から、世界の動きを知ることが出来ました。

カトマンズヘ戻った日の午後、日本大使館を表敬訪問し、今回のミッションの報告を行いました。鈴木公使(臨時代理大使)がご対応下さいましたが、元アジア福祉教育財団におられ、難民の問題には、大変良く精通していらっしゃいました。
日本での当社のカンボジア難民やベトナム・ボート・ピープルに対する眼鏡寄贈活動についてもご存知で、今回のミッションについても大変興味を示され、熱心かつ丁寧にご対応いただきました。帰国前日、ライオンズ・クラブのお招きにより、ホテルの近くの日本料理レストランで夕食をご馳走になりました。席上、これまでの当社の協力に対し、感謝のご挨拶がありました。

チームのメンバーは日々高まる緊張と肉体的な疲労にも関わらず、明るく、精力的に活動してくれました。そして、ミッション全体の活動の中から、それぞれに大切な何かを掴み、その感動を心に焼き付けて帰国したと思います。本当にご苦労様でした。
海外難民に対する当社の支援活動は、UNHCRの要請により毎年実施されている大量の眼鏡の寄贈が大きな柱となっています。
これまで寄贈された眼鏡総数は、タイが41,139組、アルメニアが15,217組、ネパールが34,831組、合計91,187組となりました。年間を通じて大量の眼鏡を製作、梱包・発送を担当下さる社員の皆様、大量のレンズやフレーム、補聴器、眼内レンズ等、永年に亘り寛大なご支援をいただいているメーカー・問屋各社様に心より感謝申し上げます。
ダンニャバード(ありがとうございます)&ナマステー











