ホーム > 富士メガネの社会貢献 > 視援隊ニュース > 第3回アルメニア訪問(通算第22回)

今回で22回目を迎えた当社の海外難民支援ミッションは、昨年に引き続きアルメニア共和国を訪問し、6名で組織した大型の「視援隊」が、同国内に保護されているアルメニア系難民や国内避難民にサービスすることになりました。
ミッション終了後、チームは二つに別れ、一部は日本へ帰国しましたが、私と金井宏将、フレッド・ルイスの3人はスイス・ジュネーブにUNHCR(国連難民高等弁務官)の本部を訪れ、関係部門のスタッフにお会いして東欧やアジア地域の難民の状況に関するブリーフィングを受けた他、今後の方針について話し合いました。また、UNHCRとの20年に亘るパートナーシップを記念してルード・ルベルス国連難民高等弁務官(High commissioner)を親しく表敬訪問し、ハイ・コミッショナーから感謝の言葉とともにお祝いの盾を戴きました。UNHC本部での出来事は翌日ウェブサイトのトップ記事として「UNHCRと富士メガネは先見的なパートナーシップの確立20年を記録しました」(UNHCR & Fuji Optical mark 20 years of visionary partnership)というタイトルで掲載され、世界に向け発信されました。
更に、6月20日にスペインのバルセロナで開催されたUNHCR主催「世界難民の日」(World Refugee Day)関連諸行事に公式に招待を受け、出席して参りました。

アルメニア系難民に対する視力スクリーニング及び眼鏡寄贈ミッションは今年で3回目となりますが(第1回目:1997年)、UNHCR(国連難民高等弁務官)アルメニア事務所の要請を受け、5月29日(土)から6月9日(水)の12日間に亘るスケジュールで実施されました。当社から、安孫子 勝(江別店店長)、古木睦人(琴似店店長)、吉田善彦(四街道店店長)、フレッド・ルイス(本社、国際広報担当)、金井宏将(米国オレゴン州パシフィック大学オプトメトリースクール在学) の6名からなる大型チームが編成されました。
6月1日から5日間で、エレバンを中心に周辺都市5力所(ハラズダン、アボビアン、アルタシャット、マシス、エチミアジン)を巡回、合計1,025名を検査、990組の眼鏡を選定しました。この内25組は複雑な補正値のため帰国後、個人のデータに合わせて日本で特別に眼鏡を製作し、アルメニアに送られることになっています。
プロジェクト実施に先立ち、UNHCRアルメニア事務所の要請により眼鏡3,000組、眼鏡フレーム70枚、補聴器17台、眼内レンズ10枚他、ダンボール箱で合計8箱を5月6日に航空貨物で発送しました(送り状表示総額:84,330ドル、およそ953万円相当)。これらは、2日後エレバンに到着し、UNHCRによって無税通関されました。1983年にこの活動が開始されて以来、タイに41,139組、ネパールに34,831組、アルメニアに18,242組、合計94,212組の眼鏡が寄贈されました。

アルメニアに保護されている難民数は、2004年4月現在およそ236,000人が登録されていますが、この他に多数の避難民(displaced persons)が存在します。アルメニア政府の同化政策(local integration)により、過去5年間でおよそ57,000人がアルメニアに帰化しています。これらの難民は主に1988年、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフで発生した内戦を逃れた方々(100万人以上)で、その他、グルジア、アブカジアなどからの難民ですが、基本的にはアルメニア系の子孫です。多くの方々は居住するところを確保し、職も得ていますが、未だ多くの難民は国際的な支援を必要としています。それらの大部分は老人、障害者、母子家庭で、社会的に著しく弱い存在です。視力のスクリーニングと眼鏡の寄贈活動は、これらの人々の視力改善に役立ち、社会復帰、経済的自立に貢献しています。

今年は日頃難民のケアをしているアルメニア政府移民・難民局(DMR)の全面的な協力を得て行われ、事前に訪問地の抽出、関係者への連絡、作業所の確保、難民への告知と希望者の登録が行われ、当日、会場への送迎、登録・受付、誘導、機材の搬入、作業場の設営など毎日大変お世話になりました。特に検査作業に必要な適度な暗さを保つために、広い窓に予め暗幕を用意してもらうなど、細部に亘って細かな気遣いを戴きました。DMRからは、難民課・課長以下3名のスタッフが毎日同行してくれましたが、このように訪問国の政府から直接協力を受けてミッションが実施されるのは初めてのことです。

目的地エレバンヘは、今年もオーストリアのウィーン経由で成田から22時間かけて移動しました。アルメニアと日本との時差は四時間ですが、ウィーンから三時間半ほどのフライトで、僅かの仮眠の後、エレバンには現地時間で早朝5時頃、無事到着しました。
アルメニアヘの入国に際し、日本でのビザ申請が出来ないため、現地到着後に取得しますが、毎回UNHCRアルメニア事務所のスタッフが、入国後我々のパスポートを持って行って、申請して下さいます。今年は予めチーム入国許可の文書を用意してくれていたため、昨年のように空港で入国に何時間も待たされるようなことはありませんでした。尚、アルメニア政府は入国時のビザのカテゴリーを「オフィシャル」(Official)という扱いにしており、我々のミッションがオフィシャルな任務を帯びていることを表しています。空港には、UNHCRエレバン事務所から2台のジープが迎えに出てくれました。驚いたことに、DMRから難民課・課長のアラさんが早朝にもかかわらず出迎えに来てくれ、宿舎となっている「コングレス・ホテル」まで送り届けて下さいました。

ホテルでチェックインを済ませ、数時間仮眠をとってから午前11時、UNHCRアルメニア事務所でミッション実施前のミーティングが行われました。代表が数週間前に交代しており、新任のドクター・ピーター・ニコラスさんが我々一行を温かく出迎えてくれました。昨年一緒にミッションに出掛けたフィールド・アシスタントのマリーネさんは8月出産予定とのことで、代わりに新任の広報担当のロ-ザさんが、フィールドでのお世話をしてくれることになりました。オフィスのメンバーは年々大幅に入れ替っていますが、経理担当のハラッチさんとドライバーのイゴールさんだけは1997年以来の長いお付き合いです。
ミーティングには、DMRから責任者のアラさんと2名のアシスタントが参加した他、翌日から一緒に作業することになっている5人の通訳の方々も加わりました。作業は英語を介して行われますが、今年は予め新しい五人の通訳の手配をお願いしました。

ミッションはUNHCRのスタッフとDMRの職員、現地の関係者、5人の通訳など、沢山の皆さんの協力を得ながら実施され、毎日の作業は順調に消化されました。1日200人の作業量が予め設定され、希望者が事前に登録されていました。これら予め登録された方々の中で当日来れなかったのは僅か数十人だったのはこのミッションに対する関心のレベルを示しています。受付・登録は秩序正しく整然と行われ、昨年のような騒然とするハプニングもなく、安心して作業に集中することができました。
初日に訪問したハラズダンでは、昨年のミッションで、初めての強度近視の眼鏡をお世話したエレバンにある国連機関のスタッフの息子さん一家が再チェックのためにわざわざ訪ねてきました。眼鏡の調子は良さそうでしたが、補正値を強めて新たに一組差し上げることにしました。かなりの人が自分の眼鏡を所持していましたが、眼鏡は貴重品で、皆とても大切に使っていました。何れも古いものばかりで、傷つき、汚れている上、ひもや針金を使って辛うじて顔に掛けられる状態でした。軽くて光学性能の優れた日本からの新しい眼鏡を差し上げると、涙を流して喜び、抱きついて感謝されました。いつものように40歳以上の方々が対象者の大半を占めましたが、男女別では三分の二が女性で、三分の一が男性でした。男性の多くが働き口を求めてロシアや∃-ロッパなど国外に出稼ぎに出ているとのことです。
訪問した各地では大歓迎を受け、知事、市長、保健衛生局の責任者などが挨拶に来られた他、毎日、テレビ局やラジオ局の取材を受け、我々の訪問への関心の高さを示していました。取材されたニュースはその日の夜8時と11時に全国ネットで放映され、思わぬ所で「テレビに出た日本からのミッション・チーム」ではないかと、声を掛けられることが度々ありました。
作業中、頻繁にトルコ・コーヒーや冷たい水、ジュースなどの差し入れがあった他、各地で心のこもったランチをご馳走になりました。
作業日の5日間はあっという間に過ぎていきました。日々の出来事はメンバーが交代でリポートとしてパソコンに打ち込み、インターネットで毎日日本に送信されました。ミッション終了後UNHCR事務所で開かれた報告会では、ニコラス代表から「難民は、遠い国日本からわざわざ来てくれ、一人一人に親切丁寧なサービスをしてくれたと、皆とても喜んでいる。眼鏡は視力の改善、向上が瞬時に分かり、普段個人的にスポットライトが当たらない難民にとって、大変貴重なプレゼントだ」と感謝の言葉が述べられました。引き続き開催された感謝のレセプションでは、アルメニア政府高官とともに、「日本の皆さんの貢献は大きい」、「未だ、沢山の難民が待っている。来年も是非アルメニアに来て欲しい」と何度も要請されました。

この活動は年間を通じて大量のフレーム、補聴器、眼内レンズなどの寄贈品をご提供並びにレンズを特価にてご提供して下さっているメーカー、問屋各社様、寄贈する眼鏡の製作、梱包、発送作業を担当する社員の皆様、店頭での募金にご協力下さるお得意様、旅行代理店様、現地でご協力いただいているUNHCRの職員、アルメニア政府移民・難民局職員他、多くの皆様に支えられております。ご協力に改めて感謝申し上げます。最後になりましたが、今回献身的に活動していただいたメンバー及び通訳、その他の大切な仲間に心から「ありがとうございます」。

当社が1983年、タイにあるインドシナ難民キャンプで最初のミッションを実施した翌年、1984年にUNHCRのお世話になって以来、今年で20年目を迎えました。今後のミッション展望のため、また、UNHCR本部の担当者の皆さんとのコミュニケーションをはかるため、アルメニアのミッションの帰路、スイス・ジュネーブに国連難民高等弁務官の本部を訪問し、関係部署の温かい歓迎を受け、丁重にもてなされました。当社はUNHCRのコーポレート(企業)のパートナーとして、現在世界中で最も古くて長い関係にあるといわれています。
また、毎年実施されているミッションのコストを含めた眼鏡他寄贈品の価値を米ドル換算した金額は、世界中の国、NGO、企業のUNHCRに対するドナー・ランキングの中で当社が常にトップ10位内に位置しております。このランキングで日本の政府や大企業は上位に顔を出していません。
20年以上に亘り難民の視力改善に携わってきた当社の活動に対し、ルード・ルベルス・ハイコミッショナーから感謝の言葉と共に記念の盾をいただきました。単に眼鏡を寄贈するだけではなく、現地へ出向いて直接難民一人ひとりの視力をスクリーニングして眼鏡を手渡すミッションの継続が高く評価されたようです。この日の出来事はUNHCR本部のウェブサイトのトップニュースとして世界に向け発信されました。
今後の活動対象国として、引き続きアルメニア又はその周辺国(アゼルバイジャンなど)、更にアジアでは、ミャンマーなどが示唆されました。

「世界難民の日」は、世界中に難民問題をアピールする上で、UNHCR年間行事の中で最も大切な日です。
この日は「ナンセン難民賞」授与式が挙行される晴れがましい日でもあります。今年はロシアのNGO「ヒューマン・ライツ・メモリアル」が選ばれました。マイクロ・ソフト、ネスレ、シスコ・システム、メルク(薬品)、真如苑、立正佼成会などUNHCRにドナー(支援・協力者)として貢献している世界中の代表的なNGO及びコーポレート(企業)が十数社招待されていました。当社も公式に招かれ、出席して来ました。難民の人権に関する「フォーラム2004」のクロージング・セッションがあり、「家と呼ばれる場所」(A Place To Call Home)をテーマとして、ルベルス・ハイコミッショナーとUNHCRの親善大使を務めているハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんなどが講演されました。「ナンセン賞」受賞者を囲む、ごく限定された招待者の昼食会にも招かれました。直前のシャンパン・レセプションには、アンジジェリーナ・ジョリーさんが超多忙スケジュールのなかをぬって、ゲストと親しくお会いされ、記念の写真まで撮らせてもらうという、思わぬハプニングがありました。












